人権侵害救済法とは、非常に耳障りのいい名前ですが、その内容はどんなものなのでしょう。
あまりにも人権の定義が曖昧で、運用の方法によっては言論弾圧の武器になります。
正当な事情があっても、お隣の国々を非難できないことになり、人権侵害の一言で断罪されることにもなりかねません。
まだまだ指摘の部分が甘いと感じられる方はどんどんコメントしてください。
----------------------------
人権侵害救済法案の内容
何人も、他人に対し、次に掲げる行為その他の人権侵害をしてはならない。
人権侵害とは、不当な差別、虐待その他の人権を侵害する行為をいう。
禁じられる人権侵害として掲げられているものは、次のとおり。
(法案3条1項)。
- 不当な差別的取扱い
- 公務員としての立場において人種等(人種、民族、信条、性別、社会的身分、門地、障害、疾病又は性的指向をいう。以下同じ。)を理由としてする不当な差別的取扱い
- 業として対価を得て商品、施設、役務等を提供する者としての立場において人種等を理由としてする不当な差別的取扱い (売ることや立ち入りを拒むだけで断罪される。不当な行為に対しての定義がない)
- 事業主としての立場において労働者の採用又は労働条件その他労働関係に関する事項について人種等を理由としてする不当な差別的取扱い(労働関係に関する事項とはあまりに広範過ぎて、全てと言っているに等しい。能力不足でも出世できないのは人種差別の為と主張されればどうなるんでしょう。)
- 不当な差別的言動等
- 人種等の属性を理由としてする侮辱、嫌がらせその他の不当な差別的言動 (定義が非常に曖昧で、主観で断罪される危険が大きい。世間事情で大幅に変化する。侮辱されたと腹を立てたほうが勝ち)
- 職務上の地位を利用して相手方の意に反してする性的な言動
- 相手方に対して優越的な立場においてする虐待
また、差別助長行為等の禁止を定めた。差別助長行為等として掲げられている行為は、次のとおり。
(法案3条2項)
- 人種等の共通の属性を有する不特定多数の者に対して当該属性を理由として不当な差別的取扱いをすることを助長し、又は誘発する目的で、当該不特定多数の者が当該属性を有することを容易に識別することを可能とする情報を文書の頒布、掲示等の方法で公然と摘示する行為 (違法行為の定義が曖昧だけでなく、SNSの書き込みなどで、書き込んだ本人の意思でなくても、受け取る側の都合で断罪される可能性がある)
- 人種等の共通の属性を有する不特定多数の者に対して当該属性を理由として不当な差別的取扱いをする意思を広告、掲示等の方法で公然と表示する行為
法務省の外局として、法案1条の目的を達成することを任務とする人権委員会を設置することとし(法案5条)、人権委員会は、国家行政組織法3条2項の規定に基づく行政委員会、いわゆる3条委員会(国税庁・公安審査委員会・公安調査庁などがそれにあたる)とした。
人権委員会は、人権救済、人権啓発等の事務を所掌し(法案6条)、人権委員会の委員長及び委員には、職権行使の独立性が定められた(法案7条)
人権擁護委員
地域社会における人権擁護の推進を図るため、人権委員会に人権擁護委員を置く(法案21条)。
人権擁護委員は、人権啓発、人権相談、人権侵害に関する情報収集等の職務のほか、人権委員会の委任により、人権侵害に関する一般調査及び一般救済の職務を行う(法案28条)。
人権擁護委員は、市町村長が推薦した者のうちから、人権委員会が委嘱する(法案22条1項、2項)。
市町村長は、人権委員会に対し、当該市町村の住民のうちから、当該市町村議会の意見を聴いて、人権擁護委員の候補者を推薦する(法案22条3項)。
人権委員会は、市町村長等の意見を聴いて、市町村長が推薦した者以外の適任者に人権擁護委員を委嘱することができる(法案23条)。
人権擁護委員は、その職務に関して、人権委員会の指揮監督を受ける(法案30条)。
人権擁護委員の任期は3年とし、人権擁護委員は非常勤とする(法案25条)。
人権擁護委員には給与を支給しないものとし、人権擁護委員は職務を行うために要する費用の弁償を受けることができる(法案26条)。
現行の人権擁護委員との主な違いは、委嘱する者が法務大臣から人権委員会となったこと、「当該市町村の議会の議員の選挙権を有する」(人権擁護委員法6条3項)という要件(国籍要件)をなくしたため、日本国民以外の者を推薦できるようにしたこと。 つまり、外国人に日本人を取り締まる権限を与えても違法にならない。
人権救済手続
総則
人権委員会は、人権侵害に関する各般の問題について、相談に応ずる(法案37条)。
何人も、人権侵害による被害を受け、又は受けるおそれがあるときは、人権委員会に対し、人権救済の申出をすることができる(法案38条1項)。
人権委員会は、人権救済の申出があれば、性質上関与するのが適当でない事件又は行為の日から1年を経過した事件を除き、遅滞なく必要な調査をし、適当な措置を講じなければならない(法案38条2項)。(もうここでは、違法行為に対する定義もなく人権委員会の独断で断罪される危険をはらんでいます)
人権委員会は、人権侵害による被害の救済又は予防を図るため必要があると認めるときは、職権で、必要な調査をし、適当な措置を講ずることができる(法案38条3項)。
一般救済手続
人権委員会は、人権侵害による被害の救済又は予防に関する職務を行うため必要があると認めるときは、必要な調査(一般調査)をすることができ、関係行政機関に対しては、必要な協力を求めることができる(法案39条)。
人権委員会は、人権侵害による被害の救済又は予防を図るため必要があると認めるときは、次に掲げる措置等(一般救済)を講ずることができる(法案41条)。
- 被害者等に対する助言、関係行政機関等への紹介、法律扶助に関するあっせんその他の援助
- 加害者等に対する説示、啓発その他の指導
- 被害者等と加害者等との関係の調整
特別救済手続
人権委員会は、不当な差別、虐待等、差別助長行為等、次に掲げる人権侵害については、一般救済のほか、次に掲げる措置(特別救済)を講ずることができる(法案42条、法案43条)。
- 不当な差別的取扱い
- 不当な差別的言動等。不当な差別的言動であって、相手方を畏怖させ、困惑させ、又は著しく不快にさせるもの。性的な言動であって、相手方を畏怖させ、困惑させ、又は著しく不快にさせるもの。
- 国又は地方公共団体の公権力の行使に当たる職員、社会福祉施設、医療施設その他これらに類する施設を管理する者又はその職員、学校その他これに類する施設を管理する者又はその職員、配偶者、高齢者の同居者などがする、暴行、わいせつな行為、心理的外傷を与える言動などの虐待。
- 報道機関又は報道機関の報道若しくはその取材の業務に従事する者がする、私生活に関する事実をみだりに報道し、その者の名誉又は生活の平穏を著しく害するなどの人権侵害
- 前各号に規定する人権侵害に準ずる人権侵害であって、その被害者の置かれている状況等にかんがみ、当該被害者が自らその排除又は被害の回復のための適切な措置を執ることが困難であると認められるもの。
人権委員会は、人権侵害について、調査を行い、又は同項に規定する措置を講ずるに当たっては、報道機関等の報道の自由又は取材の自由その他の表現の自由の保障に十分に配慮するとともに、報道機関等による自主的な解決に向けた取組を尊重しなければならない。
人権委員会は、上記1から3までの人権侵害(不当な差別的取扱い、不当な差別的言動等又は虐待。ただし、後述の労働分野における人権侵害を除く。)又は差別助長行為等について必要な調査をするため、次に掲げる処分(特別調査)を行うことができる(法案44条)。
- 事件の関係者に対する出頭要求・質問
- 当該人権侵害等に関係のある文書その他の物件の提出要求
- 当該人権侵害等が現に行われ、又は行われた疑いがあると認める場所の立入検査
人権委員会は、委員又は事務局の職員に、この処分を行わせることができる。人権委員会の委員又は事務局の職員に立入検査をさせる場合においては、当該委員又は職員に身分を示す証明書を携帯させ、関係者に提示させなければならない。この処分の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。
また、正当な理由なく、特別調査に係る処分に違反した者及び調停委員会の出頭の求めに応じなかった者は、30万円以下の過料に処することとした(法案88条)。なお、過料に関する処分は、非訟事件手続法に基づき、当事者の普通裁判籍の所在地を管轄する地方裁判所が管轄する。
つまり、立入検査等に裁判所等の令状を必要としません。保健所・税務署と同等の強い権限が与えれられていることはお気づきと思います。
しかも、罰則も付随した強力なものとなっています。
この法律に、外国人参政権が認められれば、いったい日本はどうなってしまうのでしょうか。
あなたの正義や良心が冤罪となるかもしれないのです。
以下 産経新聞より http://sankei.jp.msn.com/politics/news/110812/plc11081200330000-n2.htm
----------------------------------------------------------------
止まらぬ言論統制の動き 「人権侵害救済法案」「リーク防止法制」の準備は着々
菅直人首相がようやく辞任を表明したが、憲法21条が保障する「表現の自由」や「国民の知る権利」を侵害する言論統制の動きは止まらない。民主党は次期政権となっても人権侵害救済法案に続き、秘密保全法制(リーク防止法制)の成立を狙い、着々と準備を進める公算が大きいからだ。ぶらさがりを一方的に拒否した首相の報道対応を次期首相が継承するならば、その独善的な姿勢も引き継いだとみて間違いない。(内藤慎二)
法務省は今月2日、人権侵害の被害者救済を図る新たな人権救済機関設置の基本方針を発表した。これを基に法案作りを本格化させるが、人権侵害の定義もあいまいなまま強力な権限が人権救済機関に付与されており、運用次第で言論弾圧は可能となる内容だ。
基本方針には「制度発足後5年の実績を踏まえて必要な見直しをする」とも明記されており、政権の意向でさらに権限強化が図られる恐れもある。
また、沖縄・尖閣諸島沖での中国漁船衝突事件の映像流出をきっかけに発足した政府の「秘密保全法制の在り方に関する有識者会議」(座長・縣公一郎早稲田大教授)は8日、厳罰を盛り込んだ秘密保全法制を整備すべきとの報告書をまとめた。
法制の骨子は「法制化は取材の自由を不当に制限することにならない」と記しているが、報告書を基に強力な「リーク防止法制」が制定されれば取材は著しく規制されるに違いない。
そもそも映像流出は、菅内閣の情報隠蔽体質に対する海上保安官の職を賭した抗議だった。
リーク防止法制が政権に不都合な情報を隠すために利用される危険性は十分ある。
6月にはネット犯罪を取り締まるためコンピューターウイルスの作成・配布罪の新設などを盛り込み刑法などが改正された。
差し押さえ対象が外部サーバーにも拡大される結果、ネット上の犯罪抑止が期待される一方、捜査機関による職権乱用も懸念される。
菅政権では、防衛省が昨年11月、自衛隊行事での民間人による政権批判を封じる事務次官通達を出すなど安易に言論統制する傾向が強かった。
首相自身も東日本大震災発生以来、記者団のぶらさがり取材を一方的に拒否。官邸に出入りする際に記者団が質問を投げかける「声かけ」にも自己PRにつながりそうな場合だけ足を止め、都合の悪い問いにはだんまりを決め込んだ。
首相側は当初、内閣記者会に「ぶらさがり取材に応じない代わりに原則週1回記者会見を開く」と提示したが、この約束も踏みにじった。7月13日の記者会見では、幹事社が「都合のよいときだけ記者会見をする現状に抗議する」と詰め寄ったが、首相は完全に無視。枝野幸男官房長官は今月10日の記者会見で「私は1日2回というたぶん各国閣僚の中では、比較にならないほど圧倒的に記者会見をしている」と強弁した。